
『タイタニック』が実話って本当?都市伝説や沈没事故の豆知識を徹底解説
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『タイタニック』は実話から着想を得た映画

画像引用:タイタニック公式サイト
『タイタニック』は、実際に起きたタイタニック号の沈没事故をもとにした物語です。
映画は1997年に公開されましたが、事故がいつどこで起きたのか、映画のどこまでが本当の話なのか、知らない人も多いかもしれません。
この記事では、タイタニック号の特徴や事故の原因、そして映画がなぜ多くの人に名作として語り継がれているのかなどを、わかりやすく紹介します。
豪華客船「タイタニック号」

画像引用:タイタニック公式サイト
タイタニック号は、今から100年以上前の1900年代初めにイギリスのホワイト・スター・ラインという会社が造った豪華客船です。
当時としては世界最大級の大きさを誇り、大西洋を横断するために設計されました。なんと造船にはハーランド&ウルフ社の3,000名の社員が携わり、750万ドルも費やされたといいます。
同じ会社が造った船には、オリンピック号や、のちに病院船として使われたブリタニック号もあります。
タイタニック号は、1912年4月10日にイギリスを出発し、アメリカに向けて初めての航海に出ました。
しかし、わずか4日後の4月14日に事故が起き、船は沈没してしまいました。この出来事が『タイタニック』のもとになっています。
“不沈”といわれたタイタニック号が沈没した原因

画像引用:タイタニック公式サイト
タイタニック号は、処女航海の4日目に北大西洋のニューファンドランド沖で氷山にぶつかりました。
ぶつかったことで大量の海水が船内に流れ込み、1912年4月14日の夜から15日の朝にかけて、わずか約2時間40分ほどで船全体が沈んでしまいました。
また、沈没したタイタニック号の残骸が発見されるまでに73年もの月日がかかったと言われています。
この事故では1,500名以上の乗客や乗員が亡くなり、当時としては最も多くの犠牲者を出した海の事故としても有名です。
このように被害が大きかった理由としては、以下のようなことが考えられます。
・救命ボートが20艘しかなかった。また、定員に達する前に避難してしまった。
・氷山や海氷の存在を知らせるメッセージが見過ごされていた。
また、氷山にぶつかる前から船内で火災が起きていたという説や、船長の判断ミスが原因だったという声もあります。
ただし、事故の原因は一つではなく、さまざまな要因が重なって起きたと考えられており、はっきりと特定するのは難しいのが現状です。
タイタニック号沈没事故の生存者はわずか32%

画像引用:タイタニック公式サイト
明確な乗船客数は明らかになっていませんが、タイタニック号に乗船していたのは2,200名以上といわれています。
沈没事故で生存したのは、乗員・乗客のうちわずか32%でした。当時の乗客名簿をもとにおおよその人数はわかっていますが、偽名を使って乗船した人もいたため、正確な記録とは言い切れません。
また、乗客の出身地や国籍がさまざまであったことも、名簿の正確さを確認するのを難しくしていました。
タイタニック号の事故を生き延びた人たちも、大変な恐怖や悲しみを経験したことに変わりはありません。目の前で多くの命が失われたことは、生存者たちに大きな心の傷を残しました。
中にはその後、心のダメージから立ち直れず、自ら命を絶ってしまった人もいたと言われています。それほどまでに、事故の影響は深刻なものでした。
『タイタニック』が名作と言われる理由

画像引用:タイタニック公式サイト
『タイタニック』の制作費は2億ドル(約260億円)といわれ、実際にタイタニック号を造るのにかかった費用を超えたと言われています。
監督のジェームズ・キャメロンさんはタイタニック号に強い思い入れがあり、自分のお金も使って映画づくりに取り組みました。
キャメロン監督は、タイタニック号の設計図や関連資料を集め、船の外観や内装はもちろん、船底や家具、食器など細かい部分までリアルに再現しました。
公開時点での全米興行収入歴代1位、米アカデミー賞で作品賞をはじめ史上最多タイの11部門受賞した、とんでもない大作です。
公開から30年近く経った今でも、リマスター版が上映されるたびに満席となっており、たくさんの人に愛されています。
タイタニック号は現在どうなっている?
タイタニック号は、沈没から73年後の1985年9月に海の底で発見されました。しかし、現在の技術ではタイタニック号のような大きな船を海底から引き上げることは難しく、事故から100年以上たった今もそのまま海底に沈んでいます。
長い年月が経ったことで船体の腐食が進み、壊れやすくなっていることも、引き上げが難しい理由のひとつです。
また、タイタニック号から遺品を持ち出す人も出てきたため、現在はユネスコや専門の機関が保護しています。
タイタニック号沈没事故の豆知識
『タイタニック』には、心に残る登場人物や名シーンがたくさん登場します。
この記事では、映画に登場するさまざまなエピソードや人物が本当にあったことなのか、それとも映画用に作られたフィクションなのかを紹介していきます。
映画や歴史に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
ジャックとローズは架空の人物

画像引用:タイタニック公式サイト
『タイタニック』はレオナルド・ディカプリオ演じるジャックと、ケイト・ウィンスレット演じるローズが恋に落ちる物語がメインに描かれています。
しかし、ジャックとローズはどちらも架空の人物とされていて実在はせず、二人のラブストーリーは映画のために作られたものです。
しかし、ローズというキャラクターにはモデルがいるとされています。
それが、アメリカの芸術家ベアトリス・ウッドです。彼女は、女性の活躍が難しかった時代に、芸術家として自分らしく生きた女性でした。
その自由で情熱的な生き方が、監督ジェームズ・キャメロンに強い影響を与え、ローズというキャラクターの誕生につながったと言われています。
タイタニック号で最期を遂げる老夫婦は実在した
沈みゆくタイタニック号の中で、逃げることを選ばず、ベッドで静かに最期を迎えようとする老夫婦の姿が描かれます。
水が部屋に入り始める中、夫は妻の手をしっかり握り、そっと頬にキスをします。その深い愛情が伝わるシーンに、涙した人も多いのではないでしょうか。短い場面ながらも、とても印象に残る名シーンのひとつです。
この老夫婦のモデルとなったのは、アメリカの百貨店経営者イジドー・ストラウスさんと、その妻のアイダさんです。2人はファーストクラスの乗客だったため、救命ボートに優先的に乗ることができました。
しかしイジドーさんは、「女性や子供たちが全員無事に脱出するまでは乗ることができません」と、自らボートに乗ることを断りました。
その姿を見たアイダさんも、「私たち夫婦は40年間も素晴らしい人生をともに過ごし、6人の子どもたちにも恵まれた。あなたがボートに乗らないなら、私も乗らないわ」と言い、船に残ることを選びます。
彼らを最後に見た目撃者は、海に投げ出された後も2人は最後まで抱き合っていたと話しています。
沈没する船内で演奏し続けた楽団は実在した
『タイタニック』の中で、沈んでいく船の上で「主よ 御許に近づかん」の演奏を続ける楽団の姿に心を打たれた人も多いのではないでしょうか。このシーンはフィクションではなく、実際にあった出来事です。
タイタニック号には、バンドマスターのウォレス・ハートリーさんを含む8人の楽団メンバーが乗っていました。
船が沈みゆくなか、彼らはパニックに陥った乗客たちを少しでも落ち着かせようと、最後の瞬間まで演奏を続けました。残念ながら、全員が命を落としましたが、その勇気と献身は今も語り継がれています。
三等客室の乗客から特に多くの犠牲者が出た
タイタニック号には、一等・二等・三等と3つの等級の客室がありました。一等客室には高額な料金を支払った裕福な人たちが泊まっており、船内でも特別な扱いを受けていました。
しかし、事故の際に使える救命ボートの数は乗客全員分には足りず、限られたボートに誰を乗せるかという判断が必要でした。
そのとき、まず避難させられたのは一等客室の乗客たちで、三等客室の人たちは後回しにされてしまいます。
中には、三等客室の乗客が避難できないよう扉を閉められていたという証言もあり、逃げることさえ難しい状況だったようです。
その結果、三等客室の乗客は多くの犠牲を出すことになりました。当時の社会の格差が、命の行方にまで影響した悲しい事実です。
船長は逃げずに操舵室に残りそのまま命を落とした
『タイタニック』では、船長が最後まで操舵室に残り、タイタニック号と運命をともにする姿が描かれ、多くの人の印象に残っています。
実際の船長であるエドワード・スミスさんについては、遺体が見つかっていないため、生死ははっきりしていません。
一部では「生き延びたのではないか」という噂もありますが、そうした説を裏付ける証拠はなく、多くの証言や記録から、彼は最後まで船に残り、沈没とともに亡くなったと考えられています。
日本人の乗客・生存者は一名だけ存在した
実は、タイタニック号には日本人も1人だけ乗っていました。その人物は、細野正文(まさふみ)さんという方で、有名なミュージシャン・細野晴臣さんの祖父にあたります。
細野さんは、事故から生き延びた「奇跡の日本人」として一時は称賛されました。
しかし後に、「日本人が救命ボートに無理やり乗った」という証言が広まると、状況は一変。激しいバッシングを受け、ついには職まで失ってしまいます。
後の調査で、その証言に出てくる「日本人」は実は別のアジア系の乗客だったことがわかり、細野さんの潔白は証明されました。
細野さんの家族はあまりの批判に、どうしたらよいものかと悩みましたが、ご本人は最後まで一言も反論せず、「俺が今ここにこうして生きているんだから、いいじゃないか」と沈黙を貫いたまま生涯を終えました。
このエピソードは、当時の偏見や誤解がいかに深い傷を残したかを物語っています。
タイタニック号の都市伝説
『タイタニック』には衝撃的な都市伝説がささやかれているのをご存知ですか?ここではそのうち2つをご紹介します。
ジャックはタイムトラベラーだった?

画像引用:タイタニック公式サイト
1つ目は、主人公のジャックは未来からやってきたタイムトラベラーだったのでは?という説です。ジャックの目的は、入水自殺を図るローズを救うこと。
作中には時代と合わない発言や描写がいくつかあることがわかります。
まず、ジャックは船に乗るためのチケットをギャンブルで手に入れています。これは、彼が未来から来た人物であり、当時の通貨を持っていなかったからではないか、という見方があります。
また、ジャックはウィスタ湖で泳いだ思い出を語っていますが、この湖が完成したのは1917年。
タイタニック号が沈んだのは1912年なので、時期が合いません。さらに、ローズに「サンタモニカのジェットコースターに乗ろう」と話す場面もありますが、このジェットコースターができたのは1916年です。
こうした時代のズレから、一部のファンの間では「ジャックは未来から来たタイムトラベラーだったのでは?」という説が語られているのです。
映画の楽しみ方のひとつとして面白い見方ともいえます。
タイタニック号の沈没を予言していた本がある?
モーガン・ロバートソンという作家が書いた『フューティリティ』という小説は、タイタニック号が沈没する14年前に発表されました。
この作品には、タイタニック号の事故をまるで予言したかのような内容が描かれていることで有名です。
ただし、この予言の話には疑問もあります。というのも、事故後に『フューティリティ』は『フューティリティ~タイタン号の遭難』というタイトルに変えられ、内容もタイタニック号の事故に合わせて加筆されたのではないかという説があるからです。
一方で、初版と再版を比較した人たちは、こうしたタイタニックとの似ている点は初版にもすでに書かれていたと話す声もあります。
タイタニックについて研究する学者たちは、著者のモーガン・ロバートソンが経験豊かな船乗りであったため、巨大な客船が氷山とぶつかる可能性を予想していたのだろうと考えています。
その知識をもとに詳しく書かれたため、あたかも予言のように見えたのが真実かもしれません。
まとめ
タイタニック号の沈没事故は、歴史上最も悲しい海の事故のひとつとして、多くの人の心に残っています。
『タイタニック』は、この悲劇を感動的に描き、多くの観客に強い印象を与えました。映画に出てくる人物や出来事の多くは実際の話に基づいていて、細かい部分まで忠実に再現されています。
この事故は、技術や安全対策の大切さを改めて教えてくれる出来事でもあります。これからも多くの人に語り継がれ、忘れられることのない歴史として残っていくでしょう。
映画『タイタニック』を通して、この悲しい出来事を思い返すきっかけになれば幸いです。