
セトリの派生語と神セトリ、セトリ落ちなど「セトリ」について解説
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セトリとは

記事のテーマである「セトリ」は略称で、正式名称は「セットリスト」といいます。この言葉は主にコンサートやライブ会場で使われる用語で、大きく分けて2つの意味を持っています。具体的な例を挙げながら、それぞれの意味を解説していきましょう。
意味①
「セトリ」の一つ目の意味は、まさにライブで演奏される楽曲の目録とその順番を指します。開演前であれば「演奏予定曲目」と表現するのがより正確でしょう。
一人で弾き語りをするような場合を除き、複数のミュージシャンが参加するライブでは、事前にセトリを決めておくのが一般的です。もしセトリがなければ、曲が終わるたびに「次の曲どうする?」と相談することになり、音響や照明の担当者にも大きな負担がかかってしまいます。
ライブにも作品と同様に“流れ”が重要です。同じような曲調やテンポの曲が続けば、聴いている側も飽きてしまいますよね。だからこそ、各楽曲が最も映える曲順を考えるのも、ミュージシャンにとって大切な仕事の一つなんです。
セトリに対するアーティストの姿勢は様々です。ツアーの全日程で同じセトリを貫くアーティストもいれば、日ごとにガラッと変えるアーティストもいます。
ただ、あくまで予定は予定。その場の盛り上がりや機材トラブルといった予期せぬ要因で、ライブ中にセトリが変更になることもあります。そういった予測不能な展開に立ち会えるのも、ライブ会場に足を運ぶ醍醐味と言えるでしょう。
意味②
「セトリ」の二つ目の意味は、まさにライブで演奏する曲目や進行が書かれた紙そのものを指します。ステージに立つアーティストの足元などに貼られているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
このセトリの紙には、演奏曲目だけでなく、MCを入れるタイミングが書き込まれていることもあり、アーティストがライブをスムーズに進行させる上で非常に重要な役割を果たします。また、曲の入りを指示する合図や、使用するギターの種類、楽曲のキーやテンポなど、演奏者にとって不可欠な情報が追加されていることもあります。
ライブで使用されたセトリは、終演後にアーティスト本人やスタッフが客席のファンにプレゼントしてくれることがよくあります。その日に観たライブのセトリをゲットできたら、ファンにとっては最高の思い出であり、本当に幸せなことでしょう。
ただし、投げ入れられたセトリにファンが殺到すると、将棋倒しなどの事故が発生する危険性があります。直接キャッチしたり、自分の足元に飛んできた場合以外は、無理をして取りに行かないことが大切です。安全にライブを楽しむことが何よりも重要です。
セトリの派生語
ここまで「セトリ」が「ライブの演奏曲目そのもの」と「それが書かれた紙」という二つの意味を持つことを解説してきました。
この項では、それらの意味を踏まえ、音楽ファンの間で使われる「セトリ」の派生語をいくつかご紹介します。これらの言葉を知れば、より深くライブ文化を楽しめるはずです。
神セトリ
「セトリ」の派生語の中でも、音楽ファンが最も耳にし、そして実際に使いたいと願う言葉が「神セトリ」です。
これは、自分が聴きたいと願っていた楽曲が数多く演奏された時に使う「今日のセトリは俺得だった」といった表現をはるかに超越した、神懸かり的に完璧なセットリストのことを指します。
ファンにとって完璧なセトリと、それを見事に表現する素晴らしい演奏が一体となり、まるで心臓を撃ち抜かれるような感動を覚えた時、あなたの口からは自然と「今日は神セトリだった…」という言葉が漏れ出るはずです。最高のライブ体験を象徴する、まさに至高の言葉と言えるでしょう。
セトリ落ち
「神セトリ」とは対照的に、こちらは少し残念なニュアンスを持つ用語です。それが「セトリ落ち」。
「セトリ落ち」とは、少なくとも一度はライブで披露された楽曲が、何らかの理由でその後のセットリストから外れてしまうことを指します。文字通り、セットリストに載っていた曲が“落ちていく”イメージなので、まだ一度もライブで演奏されたことのない楽曲には使いません。
セトリ落ちの理由は多岐にわたります。例えば、ライブで演奏してもあまり盛り上がらない、技術的にライブでの再現が難しい、あるいはその曲の演奏に消極的なメンバーがいる、といったケースが考えられます。
この言葉は「聴きたかった曲がセトリ落ちしてしまった」のように、ネガティブな文脈で使われることが多いです。
しかし、「何年もセトリ落ちしていた曲が戻ってきた!」といった嬉しい状況で使われることもあります。ファンとしては、後者の意味でこの言葉を使う機会に恵まれることを願うばかりですね。
「セトリ」応用編

画像引用:Unsplash
ここまで「セトリ」の音楽用語としての意味合いを解説してきましたが、この項では、その概念を日常生活に応用するアイデアを紹介します。
「セトリ」本来の意味からは少し離れるものもありますが、音楽ファン同士の会話や、共通のカルチャーを持つ仲間とのやり取りであれば、違和感なく受け入れてもらえるはずです。むしろ、気の利いた表現として会話が弾むかもしれません。
カラオケ
まずは、音楽に密接に関わる場面での応用例からご紹介しましょう。
一人で楽しむ「ひとカラ」がブームになるなど、多様なニーズに応えて進化を遂げているカラオケ。最近では、その日に自分が歌った楽曲の一覧を「本日のセトリ」としてSNSにアップする人が増えています。
これは、SNS上での会話のきっかけになるだけでなく、「いつも同じ曲ばかり歌っていると思われたくないな…」という気持ちから、新しい曲を練習するモチベーションにも繋がるはずです。今日のあなたの「本日のセトリ」、ぜひシェアしてみてはいかがですか?
食事
「セトリ」の概念は、音楽以外の分野にも応用できます。
特に、食事の写真をSNSにアップする際に「本日のセトリ」と称して紹介することで、単なる食事という行為をライブのようなエンターテイメントへと昇華させることができます。
例えば、熟練の飲み仲間が居酒屋で注文した料理やドリンクを「本日のセトリです」と時系列に並べて投稿すると、「いいセトリですね!」「この流れは神セトリじゃないですか?」といった称賛のコメントが寄せられることも珍しくありません。
このように、食事のコースをライブのセットリストに見立てることで、フォロワーとの会話が弾み、より楽しいコミュニケーションが生まれるでしょう。前述のカラオケでの使い方と同様に、ぜひこの応用技も試してみてください。
まとめ
今回は、音楽用語「セトリ」の意味や使い方、そしてその応用編について解説してきました。
「セトリ」は、ライブ文化を愛するファンにとってはもちろん、実際に音楽を演奏するアーティスト自身にとっても非常に重要な意味を持つ言葉です。単なる「曲順」以上の、ライブ全体の流れや体験を指し示す奥深いニュアンスを含んでいます。
普段から耳にする機会の多い言葉なので、その意味を理解して日常生活に転用することもそれほど難しくありません。例えば、旅行の計画を立てる際に「今日の観光セトリは完璧!」と言ってみたり、友人と遊ぶ約束をする際に「今日の飲み会セトリどうする?」など、工夫次第で幅広く使えるでしょう。
本記事を通じて「セトリ」への理解が深まり、これからあなたが参加するライブで、派生語の項で解説したような「神セトリ」に出会えることを願っています。
ぜひこれからも積極的にライブ会場に足を運び、音楽の持つ無限の可能性と感動を体験し続けてください。