Steve Hackett(スティーヴ・ハケット)はイギリスのロックギタリストで、プログレッシブ・ロックバンドGenesisの黄金期を支えた中心人物の一人である。本名はStephen Richard Hackettで、1950年2月12日に生まれた。1971年、彼はGenesisのメンバー募集広告に応じて参加し、ピーター・ガブリエル、トニー・バンクス、マイク・ラザフォード、フィル・コリンズらと共に、アルバム『Nursery Cryme』以降の革新的なサウンドを構築した。とくに『Foxtrot』『Selling England by the Pound』『The Lamb Lies Down on Broadway』などの名盤で、クラシックや民族音楽を取り入れた独特なギター奏法と豊かなサウンドスケープを展開し、バンドに幻想的な世界観をもたらした。ハケットはステージ上での派手な動きは控えめながらも、フィンガータッピング奏法の先駆者としても知られ、後続のギタリストたちに大きな影響を与えた。1977年にGenesisを脱退した後はソロ活動を本格化させ、『Voyage of the Acolyte』を皮切りに多くの作品を発表した。ソロではロックに限らず、クラシック、ジャズ、民族音楽など幅広いジャンルを融合させた音楽性を追求し続けている。また1996年にはアコースティックギター作品『A Midsummer Night's Dream』でクラシックファンからも注目を集めた。2010年代以降は「Genesis Revisited」プロジェクトを通じて、自らのGenesis時代の楽曲を再演し、往年のファンと新世代のリスナー双方に向けたライブ活動を精力的に展開している。2020年代に入ってもその創作意欲は衰えず、叙情性と技巧を兼ね備えたギターサウンドで現在もなお高い評価を受けている。彼の音楽は、物語性と音響的な豊かさが融合した、プログレッシブ・ロックの魅力を象徴する存在である。
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