蒼山幸子は、かつて人気バンド「ねごと」のボーカル・キーボードとして活動していた音楽家であり、その透明感ある歌声と独特な音楽性で注目を集めた存在である。本名も蒼山幸子で、千葉県出身。2007年に高校の軽音楽部で結成された「ねごと」は、蒼山を中心に小夜子（ギター）、明日香（ベース）、沙田瑞紀（ドラム）という4人組で、2009年の「閃光ライオット」ファイナルステージ進出を機に注目を浴び、2010年にメジャーデビューを果たす。デビュー作はEP「Hello! “Z”」で、続いて「カロン」「ループ」など数々の楽曲を発表し、ファンタジックでエレクトロニカなサウンドと文学的な歌詞世界で支持を得た。蒼山はバンドの作詞を主に手がけ、その詩的センスと情感豊かな歌声で、バンドの世界観を象徴する存在であった。ねごとは2019年7月をもって活動を終了し、解散。その後、蒼山はソロアーティストとしての道を歩み始め、2020年にソロデビューアルバム「まぼろし」発表。以降も「Highlight」や「スピカ」「花火のあと」など、叙情的かつ洗練された楽曲をコンスタントにリリースしている。ソロ転向後はシンセサイザーとアコースティックの融合、浮遊感のあるアレンジが特徴であり、音楽性の幅を広げている。また、ナレーションやラジオパーソナリティとしても活動し、声の魅力を活かした表現の場を多方面に広げている。所属レーベルはcutting edge（エイベックス）であり、ビジュアルや衣装も幻想的で独自性が高く、アート性の強い世界観を築いている。ねごと時代から現在に至るまで、音楽と詩のあわいを行き来するような蒼山の創作は、聴き手に静かだが深い感動を与え続けている。
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