AUTECHRE（オウテカ）は、ロブ・ブラウンとショーン・ブースの2人によって構成されるエレクトロニック・ミュージック・ユニットであり、イギリス・シェフィールドを拠点に活動してきた。1991年にワープ・レコーズからのリリースをきっかけに本格的なキャリアをスタートさせ、同年に発表されたEP『Cavity Job』を皮切りに、1993年のデビューアルバム『Incunabula』によって国際的な注目を集めた。彼らのサウンドは当初IDM（インテリジェント・ダンス・ミュージック）と称されるカテゴリーに分類され、Aphex Twinやμ-Ziq、Boards of Canadaと並んでそのシーンを牽引した存在である。特に1995年のアルバム『Tri Repetae』は、機械的で反復性に富むビート構造と、徹底して構造化されたミニマルな音響設計により、ジャンルを越えた評価を受けることとなった。以降の作品ではコンピュータープログラムによる音響生成やアルゴリズミックな作曲手法を積極的に取り入れ、『Confield』（2001年）や『Draft 7.30』（2003年）などでは、リズムと構造の解体を徹底的に推し進め、エクスペリメンタルな音楽性を確立した。2000年代後半以降は作品ごとに長大化する傾向を見せ、2016年には4時間を超えるアルバム『elseq 1–5』、2020年には合計8時間以上に及ぶ『SIGN』『PLUS』を相次いで発表し、ストリーミング時代における表現の拡張にも意欲的である。ライブにおいてもヴィジュアルを最小限に抑え、暗闇の中で音だけに集中させる独自のスタイルを貫いてきた。グループ名であるAUTECHRE（オウテカ）は架空の単語であり、明確な意味を持たないことからも、彼らの創作における匿名性や抽象性を象徴するものとなっている。長年にわたり特定のスタイルにとらわれず、テクノ、アンビエント、ノイズ、現代音楽といった多様な影響を呑み込みながら、ジャンルの枠組みを再定義し続けている存在である。
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