己龍は、2007年に結成されたヴィジュアル系バンドである。和の要素を色濃く取り入れた音楽性とビジュアルが特徴で、ホラーや妖怪といった日本の伝統的なテーマを現代的にアレンジした表現が多くのファンを魅了してきた。メンバーは、黒崎眞弥（ボーカル）、酒井参輝（ギター）、九条武政（ギター）、一色日和（ベース）、遠海准司（ドラム）の5人で構成されており、それぞれが個性の強いキャラクターを持つ。黒崎はその独特なハイトーンボイスと妖艶なパフォーマンスで中心的な存在を担い、酒井と九条は作曲を手がけるなど音楽面でもバンドを支えている。一色はビジュアル系には珍しい明るくコミカルなキャラクターで、ライブMCなどでもファンに親しまれている。遠海は激しいドラムプレイとクールな佇まいでバンドの屋台骨を支える。デビューは2008年のシングル「アナザーサイド」であり、同年にリリースされた「愛シクモ儚イ骸ハ嗤ウ」によって注目を集めた。その後「娼婦ノ恋」、「叫声」などのシングルで知名度を高め、2011年にはアルバム「朱花ノ狂咲」がオリコンインディーズチャートで好成績を収めたことでブレイクのきっかけとなった。結成当初から一貫して「和製ホラー」を掲げ、着物をアレンジした衣装や雅楽器風の音色を取り入れた楽曲は、他のヴィジュアル系バンドと一線を画す存在感を放っている。ライブでは「単独巡業」と称して全国ツアーを展開し、ファンとの距離感を大切にしながら着実に支持を広げてきた。己龍は「和」と「病み」の世界観を貫き、国内外で高い評価を得ている。
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