キズナアイは、2016年12月にYouTubeチャンネル「A.I.Channel」で活動を開始したバーチャルYouTuberの先駆者である。「キズナアイ」という名前は「絆」と「愛」から成り、ファンとのつながりを重視する意図が込められている。声とモーションキャプチャによって構成されたそのキャラクターは、当初から「自称・世界初のバーチャルYouTuber」として注目を集め、デジタルとリアルの境界を超える存在として急速に人気を獲得した。キャラクターデザインは森倉円が手がけ、制作にはActiv8社が携わっていた。キズナアイはトークやゲーム実況だけでなく、音楽活動にも力を入れ、2018年にはシングル「Hello, Morning」をリリースし、正式に音楽アーティストとしてデビューを果たしている。以降「future base」や「AIAIAI（feat. 中田ヤスタカ）」などの代表曲を発表し、エレクトロポップとデジタル感あふれるサウンドで支持を集めた。中田ヤスタカやNorなどのプロデューサーとのコラボも注目され、音楽フェスやイベントにも出演するなど、音楽シーンにおいても活躍の幅を広げた。また、2020年にはNHK「バーチャル紅白歌合戦」に出演し、バーチャルタレントとしての地位を確立した。その一方で、2022年2月には「スリープ（無期限活動休止）」を発表し、ファンへの感謝とともに一区切りを迎えた。その後、キズナアイの意志を継ぐ次世代プロジェクトとしてAI歌唱特化型の「Kizuna AI Inc.」と「#kzn（キズナ）」が立ち上がり、音楽活動を引き継いでいる。キズナアイの存在は、バーチャルタレントというジャンルを確立し、エンターテインメントの新しい地平を切り開いた象徴的な存在である。
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