パリ・オペラ座バレエ団は、フランス・パリに本拠を置く世界屈指の名門バレエ団であり、正式名称を「バレエ・ドゥ・ロペラ・ナシオナル・ドゥ・パリ」という。1661年にルイ14世が創設した「王立舞踊アカデミー」が起源で、現存するバレエ団としては世界最古の歴史を誇る。長い歴史の中でジャン＝ジョルジュ・ノヴェールやルドルフ・ヌレエフ、ピナ・バウシュなど数多くの重要人物と関わりながら、古典バレエから現代作品に至るまで、常に世界の舞踊界をリードしてきた。拠点はガルニエ宮とバスティーユ・オペラの2館で、どちらも公演の舞台として使用されている。所属ダンサーは「カドリーユ」「コリフェ」「シュジェ」「プルミエ・ダンスール」「エトワール」という厳格な階級制度のもとで構成されており、「エトワール」は最高位に位置し、選ばれた者のみがこの称号を与えられる。特筆すべきは、その多くのダンサーが「パリ・オペラ座バレエ学校」出身であり、この教育機関は世界でも屈指の厳しさとレベルを誇る。ヌレエフの芸術監督時代には古典作品の再解釈とともに、男性ダンサーの役割を強化する改革がなされ、バレエ団の芸術的評価を一層高めた。演目としては『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』などのクラシック作品はもちろんのこと、ウィリアム・フォーサイス、アンジュラン・プレルジョカージュといった現代振付家による前衛的な作品も積極的に上演されている。また、近年では多様性の拡大や観客層の若年化にも取り組んでおり、ライブストリーミングや映画館上映などを通じて新たな観客との接点を広げている。歴史、格式、革新性の三位一体で構成されるパリ・オペラ座バレエ団は、バレエ芸術の象徴として現在も世界の舞台芸術界で中心的な役割を担っているのである。
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