落語立川流は、1979年に立川談志が落語協会を脱退し、自らの芸風を貫くために創設した落語の一門である。日本の伝統芸能である落語界において、立川流は極めて異端でありながらも、その強烈な個性と芸への執念から確固たる地位を築いてきた。立川談志は、従来の落語界に存在していた年功序列や派閥主義に疑問を持ち、それを打破すべく独自の弟子制度を敷いた。立川流は協会に属さない「フリー」の立場で活動しているため、定席や寄席に出られない制約があるものの、その分、テレビやラジオ、講演会、ライブ活動など多様な表現の場を積極的に活用していることが特徴である。現在では立川志の輔、立川談春、立川志らく、立川生志、立川談笑など実力派の落語家を多数輩出しており、それぞれが独自の世界観で観客を魅了している。特に立川志の輔はNHKの情報番組に出演するなど、一般層への浸透にも成功しており、落語を「エンタメ」として再定義する役割を果たしている。立川談春は小説『赤めだか』で注目を集め、後にドラマ化されるなど、メディア展開でも話題を呼んだ。立川流では弟子入りも厳格で、師匠が「前座」として認めない限り、正式な弟子として名乗ることすらできない。また、落語の修行だけでなく、師匠の身の回りの世話や雑務も日常的に課されることで知られている。これは談志の哲学である「芸は人なり」「人間の業を描く」ことに通じており、芸人としての精神性も重要視されるためである。立川談志亡き後も、一門の精神は各弟子たちに受け継がれており、型に縛られない革新的な落語を追求し続けている。
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