舞台『LAZARUS（ラザルス）』は、デヴィッド・ボウイが自ら手掛けた最後の創作としても知られるロック・ミュージカルである。原作はボウイが敬愛していた小説家ウォルター・テヴィスのSF小説『地球に落ちて来た男』であり、かつてボウイ自身が主演した1976年の同名映画を基に舞台化された。物語は、地球に来た異星人トーマス・ニュートンのその後の人生を描く続編的な内容で、孤独と葛藤、そして人間性への憧れをテーマに展開される。初演は2015年12月7日にニューヨークのオフ・ブロードウェイ劇場「ニューヨーク・シアター・ワークショップ」にて行われた。そのわずか1か月後、2016年1月10日にボウイは亡くなり、本作は彼の遺作として特別な意味を持つ作品となった。舞台ではボウイの名曲群が再構成され、「Lazarus」「Heroes」「Changes」などが劇中に挿入されている。脚本はエンダ・ウォルシュが担当し、演出はアイヴォ・ヴァン・ホーヴェが手がけた。ニューヨーク公演の好評を受け、2016年11月にはロンドンのキングス・クロス・シアターにてイギリス版が上演され、ロンドン公演も高い評価を得た。日本では2018年に日本語版が上演され、演出は藤田俊太郎が務めた。主演のトーマス・ニュートン役には中村倫也が配され、卓越した演技と歌唱力で観客を魅了した。また、2023年にも再演され、作品の持つ哲学的深みとビジュアル演出の革新性により、再び話題を集めた。舞台『LAZARUS』は、デヴィッド・ボウイが生涯を通じて探求した「アイデンティティ」と「存在」の問題に対する集大成的な表現でもあり、その死後もなお多くの観客に深い余韻を残す舞台である。
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